ウパブログ

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岩田健太郎先生のダイヤモンド・プリンセス号潜入による告発記事を読んで思うこと。

こんにちわ、かなりおです。

仕事が忙しくて記事更新が全くできていませんでしたが、そんな中でも『新型コロナ』のニュースは世間を騒がせています。
www.upablog.com

特に話題になったのが神戸大学感染症内科教授の岩田健太郎先生が『ダイヤモンド・プリンセス号』に潜入し、内部の状態を告発した件ですね。

 

僕も病院勤務している立場から、少し意見を述べてみたいと思います。

岩田健太郎先生

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引用:ドクタラーゼ

37歳の若さで神戸大学の教授になったイイ意味で医療界の異端児的存在の岩田健太郎先生。

2004年に臨床研修医制度がスタートし、それまでは医学部を卒業したらそのままどこかの科へ所属していた新米医師は、2年間各科を回る『スーパーローテート』という武者修行をすることになりました。

 

その2年間で必ずぶつかる『感染症』との壁。

 

この『感染症』の壁を乗り越えるために沢山の本を読むわけですが、研修医にとって『感染症』を乗り越えるためのバイブルの1つが岩田健太郎先生の『抗菌薬の使い方、考え方』です。

このバイブルをほとんどの研修医が読んで『スーパーローテート』を乗り越えるため、日本で『岩田健太郎』の名前を知らない2004年以降卒の医者はいないんじゃないかなと思うくらい有名な先生です。

岩田健太郎先生に憧れて『感染症専門医』を目指す医師も多くいると思います。

そのくらい医療の世界では有名なお方。

ダイヤモンド・プリンセス号潜入

今回、2020年2月18日に岩田健太郎先生が『ダイヤモンド・プリンセス号』に潜入し、その惨状を告発しました。

告発した内容はこちらでまとめられています。

refinelifekaz.com

これには岩田健太郎先生を応援するツイート、批判するツイートがどちらも多くみられます。

また、岩田健太郎先生の『ダイヤモンド・プリンセス号潜入』についてアドバイスされたとされる高山義浩医師は岩田健太郎先生の告発内容について誤りがあると指摘している内容も上記記事でまとめられています。

 

個人的な意見としては

  • 岩田健太郎先生の考え方は概ね正しい
  • けど、やり方はまずかった

だと思っています。

感染症専門医としてのプライド

岩田健太郎先生が今回の告発を行った理由の1つは『感染症専門医としてのプライド』があったと思います。

岩田健太郎先生が執筆されているブログ『楽園の向こう側』で、2月16日に更新された記事で新型コロナウイルスCOVID-19について個人の意見をまとめた後、

色々ヘマはありましたが、COVID問題はまだ始まったばかりです。方向転換をするならば今でしょう。

(引用:岩田健太郎『楽園の向こう側』2020年2月16日記事より)

 と締めくくっています。

 

感染症専門医の視点から、『もっと良い対応ができるはず』という強い意志を持って告発されたのだと思います。

僕もニュースでダイヤモンド・プリンセス号の乗客たちがテラスなどの限られた空間での休養を許可された映像を見た際に、特にマスクなどをつける様子もなかったのを見て乗客全員に感染しててもおかしくないなと感じました。

現にダイヤモンド・プリンセス号で感染者は拡大し、死亡者まで出ています。

これに関しては医療者からすれば岩田健太郎先生でなくても予見できたことだと思います。

またダイヤモンド・プリンセス号での対応のまずさが指摘されていますが、恐らく指示を出した専門家が複数名いたはずです。(岩田健太郎先生は常在する専門家はいなかったと告発していますが、高山先生が「専門家はいた」と指摘しています。)

その専門家たちも

  • ダイヤモンド・プリンセス号の乗客・乗組員合わせて4000名弱に対するマンパワー不足
  • 客船という限られた空間

この2点を加味してできる限りの対応策は考えたはずです。(と信じたい。)

岩田健太郎先生はあくまで政府の対応を批判されており、現場のスタッフにはねぎらいの言葉をかけておられますが、僕には対応策を考えたであろう感染症専門家たちへの批判のようにも聞こえました。

岩田健太郎先生をあえて批判する

あえて岩田健太郎先生を批判するとすれば『やり方がまずかった』だと思います。

今回、岩田健太郎先生は災害派遣医療チーム『DMAT』の一員として乗り込んだとされていますが、DMATは研修を受けた医療スタッフのみで形成されています。

岩田健太郎先生がDMATの研修を受けていたかはわかりませんが、本来、DMATはどこかで災害が生じた場合に派遣要請によって災害現場へ出動します。

今回、岩田健太郎先生が最初からDMATとして参加していなかったことを考えると、恐らくDMATの研修を受けていないが『DMAT』として乗船したということになります。

 

岩田健太郎先生は日本の感染症のトップを走る偉大な先生であることは間違いありません。

ただ、例えば神戸大学の岩田健太郎先生が大阪大学の感染症内科に立場を偽って潜入し、「こんな間違った医療をしています」と告発したら如何でしょうか。

もちろん、今回は世界規模の問題ですのでそんなことを言っている場合ではないかもしれません。

しかし、

  • 岩田健太郎先生以外の感染症専門家の管轄で
  • 立場を偽って潜入し
  • 個人的な見解を告発する

というのはやり方として問題があったと感じます。

 

告発した内容には正しい点、勘違いしている点が恐らく混ざっています。

現場の混乱、現在関与している専門家のモチベーションの低下、メディアへの関係機関の対応など『新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ』ことへの悪影響もあります。

岩田健太郎先生は「あくまで個人的な意見」を主張していますが、神戸大学感染症内科教授という肩書がある以上、「個人的な意見」として発信するにはあまりにも影響が大きすぎたのではないでしょうか。

みなさんに気を付けて欲しいこと

現在も新型コロナウイルスCOVID-19の陽性が確認された報道がされていますが、ここまで感染が拡大している状況では意味はなさないと思います。

  • 無症状感染者、軽症者がいること
  • 感染者全員が検査を受けているわけではないこと

を考えると、恐らく日本中に感染は拡大してます。

 

岩田健太郎先生も

  • マスク
  • 手指衛生

の重要性を強く語っておられます。

マスク不足が続きますが、マスクは重要です。意味がないことは絶対にありません。

マスク装用で感染が100%防げるわけではありませんが、感染予防に加えて、自分が感染した場合に他人へうつすリスクを軽減してくれます。

手指衛生に関しては『医療者が考える手指衛生』と『一般の方が考える手指衛生』は全く違います。

他人が見たら『潔癖症だな』と思うくらいの手指衛生が感染予防には重要です。

 

『COVID-19』の感染拡大を抑えることは現実的に難しくなっています。

COVID-19に感染した患者の看護にあたった看護師や、ダイヤモンド・プリンセス号のDMAT隊員に感染しています。

これらのスタッフは普段よりも感染防御に注意していたはずですが、それでも感染しています。

これは『COVID-19』の感染力が医療者の予想を超えている、ということを意味していると思います。

 

中国の武漢で最初に『新型コロナウイルス』の存在をSNSに発信した医師や、武漢の病院の院長が残念ながら亡くなりました。

詳細は不明ですが、SNSで発信した医師は30代と報道されています。

死因が本当に『新型コロナウイルス』による呼吸不全であれば基礎疾患のない健康成人でも重症化する可能性があります。

責任感の強い医師だったと思いますから、武漢の医療で疲弊していて免疫力が落ちていた可能性もありますが、感染した際に体内へ侵入したウイルス量が関係していたのかもしれません。

 

まだまだ不透明なことばかりの『新型コロナウイルスCOVID-19』ですが、自分自身やご自身の家族など身の回りの人を守るためにも

  • マスク
  • 手指衛生

の徹底を頑張りましょう。